だから大手には任せられない

2月 27, 2014

もう14年も前の2000年頃のネットバブル期に、
私が注目していたサービスがありました。

eGroupsという、
誰でも簡単に『メーリングリスト』を作ることができるサービスです。
ところがこのサービスが、

2014年2月3日に、終了することになりました。
eGroupsに何が起こったのでしょうか?

まずは、下記の記事を見てください。

◆[Yahoo!グループ]サービス終了のお知らせ(2014/2/3)
http://bit.ly/OFsHBr

1997年1月、米国でスコット・ハッサン氏
が起業したeGroups。

このサービスが日本に入ってきた時、
ちょうど、日本はネットバブルの全盛期で、
渋谷では『ビットバレー』という集会が開かれ、
大変盛り上がっていた時期でした。

そして当時は米国で立ち上がったサービスが
次々に日本に入ってきていた時期でもありました。

その1つが、このeGroups。

もともと、スコット氏が1人で立ち上げ、
ネットで告知をしたところ、
瞬く間に口コミで広がり、
サーバがパンクするほどに。。

そして知人のプログラマーに手伝ってもらい、
サービスを増強していったそうです。

最初は自宅のPCをサーバにして、
台数を増やしていったとのこと。

ハードウェア時代の成功物語は、
『最初は自宅のガレージから』。

インターネット時代の成功物語は、
『最初は自宅のPCサーバから』。

私が好きな成功パターンですね。

想像して欲してみてください。

今自分が作っているプログラムが、
いずれは全世界の人に使われるかもしれない。

なんてワクワクすることじゃないですか。

このeGroupが日本に入ってきた時、
創業者のグループが東京でセミナーを開催しました。

ちょうど私が上京して間もない頃でした。
私はセミナー会場で最前列に陣取り、
この創業ストーリーに聴き入りました。

私はいつもの通り、
『質問タイム』になると真っ先に手を上げ、
質問をした内容は覚えていませんが、
慣れない英語で質問をしていました。

少しでも成功者と直接対話することで、
その空気というかオーラを肌で感じたい、
と思ったからですね。

セミナー終了後に、
日本法人のO社長とも話をした。

私は、O社長に

『こんなに便利なサービスを立ち上げられるなんて、
凄いですね。』

と言いました。

O社長は

『まあこの先はどうなるかわからないけど。』

と言われていました。

私は当時あまり状況がわかっておらず、
(こんなに成功しているのに、何を心配しているのだろう。)

と思っていました。

その直後、下記のニュースのとおりeGroupsはYahoo!に買収され、
『Yahoo!グループ』として生まれ変わることになりました。

◆Yahoo!、グループ Eメールプロバイダの eGroups を買収
http://bit.ly/1o7ThNO

そして先日、この『Yahoo!グループ』そのものが
サービス終了となったのです。

サービスは全て停止され、
コンテンツも削除されるということです。

そして、代替サービスが紹介されています。

※ここに「Google Groups」が含まれていないのが、
Yahooらしいところですね(^^)

企業がサービスを終了する理由は殆どの場合、
赤字になるからですね。

この事業について、
どのような採算だったのかはわかりませんが、
インターネットビジネスで最も重要と思われる、
これまでに利用してくれていた『顧客データ』
を放棄してまで中止するわけですから、
よっぽど赤字だったのかもしれません。

eGroupsの創業者グループは、
米Yahoo!に買収された時点で巨万の富を
手にしたかもしれませんが、
最終的に自分たちが創りあげたサービスが終了となると、
どのように感じるのでしょうか。

米国では、
最初から大手に買収されるために、
つまり売却によるエグジットをするために、
起業するという考え方はあります。

それは1つのドライな考え方として、
アリなのかもしれませんが、
大手企業に買収された後のサービスの末路。

もし創業者グループが今でもサービスに関わっていたら、
スマホアプリのLINEやWhatsAppやViberなどと匹敵する
サービスに発展していったかもしれません。

このeGroupsに限らず、
創業者の熱意が感じられなくなったサービスは、
下降の道を辿ることが多いです。

@SOHOも、何度かベンチャーキャピタルから
アプローチを受けたことがあったが、
私は一切受け入れませんでした。

『今なら億単位で売れるのではないですか?』

と言われたこともあったが、

私は一切耳を傾けませんでした。

ただ単にビジネスライクに考えれば、
自分が創業した会社を売るかどうかの判断は、

1)現在の企業価値
2)将来の企業価値

を比較するだけで良いでしょう。

つまり、現在の自分の会社の評価を算定してもらって、
自分がこれから頑張ることによって
より価値を高めることができると考えれば
続ければ良いし、そうでなければ売却ですね。

私はもちろん、
将来的にもっと価値を高められると考えているので、
売却など考えたことはありません。

ただ、やはり一番重要なのは、
『サービスの利用者』ではないでしょうか。

その人がサービスを立ち上げた時には、
ただ単にお金のためだけに
立ち上げたものではなかったはずです。

必ず、『世の中のためになりたい』
という気持ちがあったはずです。

少なくとも
私はどちらかといえば、
採算度外視で、
社会的な使命感だけで
このサービスを継続してきたと言っても
過言ではありません。

その思いはやはり利用者の方に伝わり、
良いサービスへと発展していくものだと思います。

最近立ち上がってきている
『クラウドソーシング』系のサービスも、
殆どが創業者の100%出資ではなく、
他人の資本を受け入れています。

他人の資本を受け入れ、
大きな資本で展開する場合、
広告費や人件費を使い、
一気にサービスの拡大を図ろうとします。

当然、しばらくの間は赤字。
見た目は成功しているように見えても、
実はまったく収支が見合っていない、
ということも少なくありません。

他人の資本を受け入れれば受け入れるほど、
社長は『雇われ社長』となり、
株の過半数を持っていなければ、
社長を解任されるリスクはつきまといます。

例え自分で創業したとしても、です。
自分で創業した会社の社長の座を追われる、
というのは何とも悔しいことに違いないでしょうね。

このeGroupsに限らず、
私達の知らないところで、
同じような末路を辿っているサービスは
沢山あると思います。

これは世の中が『資本主義』で動いている以上、
仕方のないことですが、

サービスは大きくなったとしても、
熱意のある創業者の手から離れ、
だんだん魅力が薄れていくのは、
寂しいことでもありますね。

<追伸>
eGroupsは1997年1月に
スコット・ハッサン氏により創業されましたが、
1997年5月に、カール・ビクター・ペイジ・ジュニア氏が参画。
このカール氏は、あのGoogleの共同創業者
ラリー・ペイジ氏のお兄さん。

そう考えると、インターネット業界というものは
本当にチャンスが沢山あると思います。

<追伸2>
eGroupsがスタートしたのが1997年で、
終了したのが2014年。
17年間も続いたというのは、
インターネット業界ではむしろ長い方かもしれません。

@SOHOは、2004年の創業なので、
今年で10周年を迎えます。

あと7年後、私は44歳。
どのような形に変化をしているのか、
楽しみではあります。

ただ1つ言えることは、
海外進出はしている、ということです。

※本日の記事は、『スーパーエンジニア養成講座』のメールマガジン用に書いたものです。
このメールマガジンでは、ITエンジニアがビジネスを構築するヒントについて、書いています。
今日の記事が有益と感じられたITエンジニアの方は、ぜひ登録してみてください。

http://super-engineer.com/magazine

この記事が気に入りましたか?

この記事が気に入ったら、以下のボタンを押しておいて頂けると後からまとめ読みができます。

Favorited

質問してみよう

このサイトのコンテンツは現在進行系でアップデートしています。
今回の記事で理解しきれなかった点や、もっと知りたい情報があれば右下のチャットウィンドウからヒサシに話しかけてみてくださいね!
その場で回答させて頂くか、記事をアップデートして回答させて頂きます。

Pin It on Pinterest

Shares