私は幾つかのコミュニティーを主催していますが、時々、『私は場違いじゃないでしょうか?』と聞かれることがあります。
私的には人を差別することは無いし、一番大事なのは『参加したい』という気持ちだと思うので当然ウエルカムなのですが、ご本人が、現在の自分とそこに参加をしている人たちを比較し、一定以上の劣等感を感じると、『場違い』と思ってしまうようです。このことについて書いてみました。
ことわざに
『鶏口となるも牛後となるなかれ』
という言葉があります。
これは大きな集団の下位に所属するよりも、小さな集団の上位に所属したほうがいいですよ、という意味なのですが、その理由は、人は自分と他人を比較して優れていると思えると安心できるからだと思います。
私は、これまでの人生で『鶏口』も『牛後』も経験したことがあります。
中学時代までは、勉強の成績は常にトップクラス。1学年500人の中で1番になったこともあります。
(でも塾に行ったことはありません。)
バレー部のキャプテンや生徒会長をやっていたこともあり、高校は宮崎県内で1番の進学校、宮崎県立宮崎西高校理数科に推薦で入学。
『あそこに入るとノイローゼになる!』
という噂が立つほどの、超スパルタな学校でした。
私は別に勉強そのものが好きなタイプではなく、良い成績を取れば親や先生からは褒められ、友達からはリーダーとして認めてもらえる、ただそれだけを目的に頑張っていただけなのですが・・・
理数科の担任や友人たちはとても意識が高く。
入学式の当日にまだ授業も受けていないにも関わらず帰りに数学のプリントが配られたのに驚愕し、さらに前の関に座っていたクラスメートが、プリントをもらった瞬間、問題を解き出したのにさらに驚愕(苦笑
(おいおい、お前早すぎるだろ!)
と内心ツッコミを入れながら、大変なところに来てしまったと思ったものです。
そして県のトップクラスの壁はとても厚く、理数科の80名のうち常に順位は60番台以降。担任の先生からは劣等生扱いされて、人生で初めて『牛後』となった挫折感を感じていました。
当時本気で『全日本のバレーチームに入る!』と夢見ていた私は、周囲は高校1年目から受験勉強に入っているのに対し、部活が終わるまで全く受験勉強をする気になれませんでした。
そして受験勉強を開始したのは高校総体が終わった7月末。それでも、『1日4時間睡眠』を実行し、現役で九州大学に合格。
高1から受験勉強をしていたクラスメート達は皆、東大、京大、慶応、早稲田、医学部などのさらに難関校に合格していったので、たいした結果ではないのですが、それでも塾にも行かず、3年間体育会系の部活で完全燃焼し、約半年の受験勉強で九大に現役合格できたのは、『準拠集団』の力だと思っています。
準拠集団とは、Wikipediaによると
『人の価値観、信念、態度、行動などに強い影響を与える集団を意味する、社会学、社会心理学の用語』
とされています。
簡単にいうと人は常に自分が所属する集団の影響を受けている、ということなのですが、私が準拠集団の力を感じたのは、中学時代は自分と同じぐらいの成績だった友人が、普通科に入って成績に伸び悩んでいたのに対し、私は理数科に入ってその中では劣等生だったけれども、全国統一模試などの結果は圧倒的に中学時代の友人よりも上位だったということでした。
自分ではたいして頑張っているつもりはないのに、周囲の意識が高すぎてそれに感化され、気がついたら自分もまあまあな位置にいた、そういう感覚です。
逆に私が普通科に入っていたら、同じ結果を出すためにはより多くの勉強時間が必要だったのではないか?と思うのです。
逆にショックだったのは、中学高校のバレーボール部時代。中学では弱小校の無名プレイヤーだった幼馴染が、高校でバレーボールの強豪校に進学し、高校総体で出会ったらめちゃめちゃ上手になっていた(私よりも上手になっていた)ということがありました。
これもまさに準拠集団の力です。
なんせ彼らは基本的に学校の授業はお昼までしかなく、午後からはひたすらバレーボールばかりやっていたのですから(練習量は1日あたり6時間以上。)。。
私の学校は進学校だったので、平日の練習量は1日2時間以下(苦笑
この経験から私は、集団の力というものをとても強く実感したものです。
そうであれば、この集団の力を戦略的に活用したほうが、自分の人生を変えやすくなります。
つまり、
『たとえ自分が劣等感を感じる集団であっても、
自分がそうなりたいと思える人たちがそこにいれば、
積極的に参加したほうがいい』
ということなんです。
『鶏口となるも牛後となるなかれ』
のことわざとは矛盾するようですが、
鶏口牛後が成り立つのは、大きな集団と小さな集団の『目的や価値観』が異なる場合だと思います。
簡単に言うと、『大企業の1社員歯車であるよりも、小さい会社の社長のほうがいい』
ということなのですが、
社員と社長ではそもそも目的や価値観が全く異なるので、比べても意味がないのです。
自分がそうなりたいと思える人がいれば、その人が主宰したり所属している組織に積極的に参加することで、無意識のうちに影響を受け、あなた自身もそうなっていくのです。
最初『場違い』と感じても、それが価値観の違いから来るものではなく、自分がいるステージの違いから来るものであれば、積極的に参加することで、最初は劣等感を感じても次第に慣れてきて、気がついてみたら自分も自然とそうなっていきます。
より収入を増やしたいのであれば自分よりも収入が多い人とお付き合いし、
より家族を幸せにしたいのであれば自分よりも家族を幸せにしている人とお付き合いし、
より健康になりたいのであれば自分よりも健康に気づかっている人とお付き合いすれば良いのです。
ということで、私が主宰するコミュニティーには、人を差別する人はいませんし、誠実で前向きでひたむきな方が集まっているので、安心して参加してくださいね。
<追伸>
『準拠集団』については、
ITエンジニアのための「人生戦略」の教科書
の
『Chapter2-1.孤独に耐えて環境を変えろ』
でも触れているので、
本書をお持ちの方は重ねて読んでみてくださいね。