インディーハッカー道
どこにもリンクしていないテスト環境に、ChatGPT のボットは来るのか|サーバーの記録で確かめた
マーケティング

どこにもリンクしていないテスト環境に、ChatGPT のボットは来るのか|サーバーの記録で確かめた

·6分で読める
平城寿
平城 寿(ひらじょう ひさし)
@SOHO創業者 / インディーハッカー

この記事のポイント

  • ✓どこにもリンクしていないテスト環境10個のサーバーの記録を調べると
  • ✓8個に OpenAI のボットが来ていて
  • ✓Googlebot は1回も来ていませんでした

前回の記事で、新しいドメインでサイトを開いたとき、Google より先に ChatGPT のボットが来ていたことを書きました。 https://hirajo.com/blog/crawler-google-vs-chatgpt

ドメインを取ってから1時間ほどで、記事もリンクも無いうちに、OpenAI のボットが来ていました。 では、OpenAI は何を見て、生まれたばかりのサイトを知ったのでしょうか。

私の見立ては、SSL 証明書の発行です。 証明書を取ると、その名前が公開の記録に載ります。 OpenAI はそれを見てサイトを見に来ているのではないか、と考えました。

そこで、どこからもリンクしていない、検索にも出していないテスト環境の記録を調べました。 本番のサイトと違い、テスト環境は、作った私たち以外にだれも知らないはずの場所です。

調べたもの

1台のサーバーで動かしている48のホストのうち、テスト用のホスト10個です。 自社製品と、お客様から預かっている開発案件のテスト環境で、どれもどこにもリンクしていません。 製品名とドメインは伏せ、テスト環境A〜Jと呼びます。

使ったのは、サーバー(nginx)のアクセス記録です。 記録が残っているのは、古いものでも2026年4月末からです。 時刻はすべて日本時間です。

ボットは名乗る名前(User-Agent)だけでは見分けられません。 今回の記録にも、OpenAI や Google の名前を借りた偽物が3,305回ありました。 そこで、各社が公開している IP アドレスの一覧と照らし合わせ、一覧に入っているものだけを本物として数えました。

  • OpenAI:OAI-SearchBot、GPTBot、ChatGPT-User
  • Google:Googlebot
  • Microsoft:bingbot

テスト環境に来たボット

公開していないテスト環境に来たボット

10個のテスト環境のうち8個に、OpenAI の本物のボットが来ていました。 合わせて2,403回です。

Googlebot の本物は、10個のどれにも1回も来ていません。 bingbot の本物も0回でした。

  • テスト環境A:OpenAI 633回、Google 0回(記録は5月10日から)
  • テスト環境B:OpenAI 519回、Google 0回(5月10日から)
  • テスト環境C:OpenAI 413回、Google 0回(7月6日に作成)
  • テスト環境D:OpenAI 396回、Google 0回(5月10日から)
  • テスト環境E:OpenAI 238回、Google 0回(8月20日に作成)
  • テスト環境F:OpenAI 175回、Google 0回(5月10日から)
  • テスト環境G:OpenAI 28回、Google 0回(4月30日に作成)
  • テスト環境H:OpenAI 1回、Google 0回(10月14日に作成)
  • テスト環境I:OpenAI 0回、Google 0回(記録は10月5日から)
  • テスト環境J:OpenAI 0回、Google 0回(4月30日に作成)

本番のサイトには、Googlebot は毎日来ています。 同じサーバーの、同じドメインの下のテスト環境には、5か月以上たっても1回も来ていません。

作った日の記録

テスト環境C、E、Hは、作った日からの記録が残っていました。 3つとも、同じ順番でボットが来ています。

テスト環境Eの例です。

  • 17時54分00秒:記録の最初のアクセス。調査用のボットが、数秒のうちに次々とトップページに来る
  • 18時32分44秒(38分後):OpenAI の OAI-SearchBot が robots.txt を読む
  • 18時32分45秒:OpenAI の GPTBot がトップページを読み、そこからリンクをたどって中のページを読み始める

テスト環境Hも、最初のアクセスの38分後に、OAI-SearchBot が来ていました。 テスト環境Cは、2時間12分後でした。

テスト環境CとHでは、最初の数秒に来たボットの中に、CT-WP-Scanner という名前のものがありました。 CT は Certificate Transparency の略で、SSL 証明書の公開記録のことです。 SSL 証明書を発行すると、そのホスト名がこの記録に載り、だれでも見られます。 3つとも、テスト環境のホスト名は、この公開記録に載っていました。

このとき、テスト環境のホスト名を知る手がかりは、証明書の公開記録とDNSの設定くらいしかありません。 リンクも、サイトマップも、検索への登録もしていません。

Google と OpenAI では、動きが違う

Google は、検索の仕組みを、リンクやサイトマップでページを見つけるところから説明しています。 https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/how-search-works

テスト環境には、リンクもサイトマップの登録もありません。 記録のうえでも、Googlebot は1回も来ませんでした。

OpenAI のボットは、だれにも教えていない場所に、作ってから1時間足らずで来ていました。 テスト環境CとEでは、OAI-SearchBot が robots.txt を読んだ1秒後に、GPTBot が中のページを読み始めていました。

私の見立て

ここからは、記録をもとにした私の見立てです。

OpenAI は、新しいドメインや新しいホストの SSL 取得を合図にして、サイトを見に来ている。 Google のボットは、それとは別の動きをしている。

つまり OpenAI は、Google よりも広く情報を取得して、独自に解析しているのではないか。

OpenAI は、何を見てサイトを知ったのかを公表していません。 記録から言えるのは、ホスト名が証明書の公開記録に載り、最初のアクセスがあってから38分から2時間ほどで OpenAI のボットが来ていたことと、同じような場所に Google は5か月以上来ていないことです。

記録の限界

  • テスト環境のホスト名が、私たちの知らないところでどこかに書かれていた可能性は、ゼロにはできません
  • 記録が5月10日からのテスト環境は、それより前に何が来ていたかはわかりません
  • テスト環境Jのように、OpenAI も来ていない場所もあります
  • ほかにもう1つ、2025年4月の記録しか残っていないテスト環境があり、そこには Googlebot が54回、bingbot が20回来ていました。記録の時期がほかと違うので、10個には入れていません

自分のサイトで確かめる方法

サーバーのアクセス記録で、次のように数えられます。

grep "OAI-SearchBot" access.log | wc -l
grep "GPTBot" access.log | wc -l
grep "Googlebot" access.log | wc -l

名前は、どのプログラムでも名乗れます。 本物かどうかは、各社が公開している IP アドレスの一覧と照らし合わせてください。

テスト環境やステージングに OpenAI のボットが来ているかは、ここで確かめられます。

おわりに

どこにもリンクしていないテスト環境10個のうち8個に、OpenAI のボットが来ていました。 Googlebot は1回も来ていません。

作った日の記録では、最初のアクセスから38分から2時間ほどで、OpenAI のボットが来ていました。

公開していないつもりの環境も、証明書を取った時点で、OpenAI には見つかっています。

シェア
#ChatGPT#OpenAI#GPTBot#Googlebot#クローラー
平城寿
平城 寿(ひらじょう ひさし)
インディーハッカー。2004年に@SOHOを創業し、20年間1人で運営。
フォロー

関連記事