今回は、目標設定について一般的に言われていることと逆のお話をします。
『えっ?』と思われるかもしれませんが、しっかりと読んで頂きたいと思います。
よく、
『目標には期限を決めた方が良い』
と言われます。
それに従って、あなたも『1年以内に◯◯する』などと決めたことがあると思います。
この点について、私は少し違う考えを持っています。
決めないよりは決めたほうが良いとは思いますが、期限を決めたからといって、必ずしも実現できるという保証はありません。
実は、目標の実現可能性というものは期限を決めるか決めないかというよりは、人によって実現できるかできないかが、大きく変わってくると思います。
それは何故でしょうか?
人のモチベーションはそう長く続かない
私達が目標設定をする時、「新年の抱負」のように1年単位で決めることが多いと思いますが、それでは、1年後に今と同じモチベーションを保ち続けられるかというと、100%の人が『ノー』だと思います。これは私にも無理です。
そして目標の期限が長くなればなるほどその傾向は強くなっていきます。
おそらく人はこのことを無意識のうちに理解しているので、長期目標を設定すると、
『ああ、先は長いな。こんなに長く努力しないといけないんだ。つらい道のりだな。』
というマイナスの感情も生まれるわけです。
期限を設定すると、本当は実現が先延ばしされている?
仮に1年後の目標を立てたとします。
そこで考えて頂きたいのは、
『本当にそれは1年後にしか達成できないのか?』
ということです。
受験のように、タイミングが決まっているようなものは別として、
- 1年以内に月収100万円を超える
- 1年以内に結婚相手を見つける
というようなものは、別に1年も待つ必要はなく、本心としては明日でもいいわけです。
むしろ、早ければ早い方が嬉しい。
つまり、こういう目標の場合、期限を決めてしまうと、逆に実現が遅くなっている場合があると思うわけです。
脳というものは言葉に素直に反応するので、『じゃあ、1年までは楽をしてもいいのだな』と、脳がフルスペックで稼働するのをやめてしまうのです。
本当は1ヶ月ぐらいで達成する方法が見つかるかもしれないのに、脳がそれをしなくなるのです。
では、どうすればいいのか?
それでは、私の結論です。これは究極なのですが、
『私はそれを既に実現している。』
もしくは、
『私にはそれを達成する素養が既に備わっている。』
と『確信する』ことです。
そうなると、明日実現してもおかしくなくなってくるので、目の前のことに取り組む集中力や気力が変わってきます。
銀行貯金が0円の人が、1億円の資産を築こうと思った場合には、
『今から1億円を稼ごう』
ではなく、
『既に私は1億円を手にしている。それを受け取るための行動を、今行っているのだ』
と考えるのです。
本当にそのように考えることができると、脳が『本気モード』で働き出します。
すると、実は銀行融資で不動産を購入して実現する道を発見することができたり、もともと全然知らなかった実現方法や、想定していなかった実現方法が見えてくるのです。
私は2004年に@SOHOを創業し、4年後に日本で最大の会員規模となった経験がありますが、4年なんて考えたことは一度もなく、気持ちとしては『1日でも早く』と毎日思っていました。
なので、明日達成するためには、今日はメチャクチャ頑張らないといけない。ということで、疲れていようが、土日だろうが、彼女がいなかろうが、ひたすらプログラムを書き続けることができ、ありえないほど会員数を増やす方法や、ありえないほど検索エンジンにヒットするようなアイディアが、次々に思い浮かんできたのです。
これが最初から『4年以内に』などと悠長に考えていたら、
『今日は映画を見てもいいかな』
『今日は眠ってもいいかな』
『今日はコンパに行ってもいいかな』
と自分に言い訳を繰り返し、到底達成できなかったと思います。
『今日、明日にでも実現したい』と思い続けて、4年もかかってしまったのです。
例外的に期限を設定した方が良い場合
例外として、期限を設定した方が効果的な場合があります。
それは、経営者や政治家が、従業員や国民にビジョンを示すような場合です。『3カ年計画』『5カ年計画』と、ゆる〜い目標設定をすることで、それについていかなければいけない人達は、逆に安心するのです。
時の内閣総理大臣がいきなり、
『来月から消費税を20%にします!』
と宣言されたら、社会は混乱しますよね(苦笑
なので、組織のリーダーが組織に対して意思表明する時は、期限設定は効果的です。
この場合でも、本人達の本心としては、
『明日からでも実践したい』
なのです。
個人の目標設定においては、『明日から』いや、むしろ『今から』で良いのです。新年の目標を立てた方は、一度この観点から考えてみてください。
<追伸>
そもそも『目標』という言葉を使う時点で、心の中では、『達成できるかできないか五分五分』という感覚を持ってしまっているのではないでしょうか。
それは目標という言葉が、
- 達成できるかどうかわからないもの
- 達成できなくてもとくにペナルティーはないもの
というニュアンスを含んでいるからです。
多くの方が、『できたらいいな』ぐらいの気持ちで、社交辞令のような感覚で目標を掲げるのです。
殆どの人にとって、『目標=必達事項』ではないのです。
多くを成し遂げている人は、目標ではなく必達事項として捉えています。
元プロ野球ー選手のイチローさんやサッカー日本代表の中田英寿さんが凄いプレーをしてインタビューを受けても、顔色一つ替えずに受け答えしていたのは、本人にとっては『当たり前のプレー』だったからです。
ナポレオンの辞書にも、不可能は無かったわけです。