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英語でプレスリリースを打ったら5日で何が起きたか|転載800サイト・被リンク600本・来た人はほぼゼロ
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英語でプレスリリースを打ったら5日で何が起きたか|転載800サイト・被リンク600本・来た人はほぼゼロ

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平城寿
平城 寿(ひらじょう ひさし)
@SOHO創業者 / インディーハッカー

この記事のポイント

  • ✓英語のプレスリリースを EIN Presswire から無料で配信した後の5日間の記録です
  • ✓約800サイトへの転載
  • ✓被リンク605本のうち評価に効くのは4%

英語圏向けのプレスリリースは、日本の配信と同じ感覚で出すと、結果の読み方を間違えます。 数字の桁が違い、届くメールの種類が違い、効き方も違うからです。

私は2026年9月24日に、自分の会社で作ったプロジェクト管理ツール「Pinateca」の英語版プレスリリースを、EIN Presswire という米国の配信サービスから無料で出しました。 同じ日に日本語版も国内の無料配信サービスに出しています。 日本語版の出し方は前回の記事にまとめました。

https://hirajo.com/blog/press-release-free

この記事は、その後の5日間の記録です。 アクセス解析、サーバーの記録、被リンクの計測、届いたメールを突き合わせて、英語圏ならではの事情に絞って書きます。

無料で使える英語の配信サイトは、思ったより少なかった

英語版を出すにあたって、まず英語圏の無料配信サイトを自分で探しました。 ネットに出回っている「無料のプレスリリース配信サイト一覧」を上から順に開くと、Pressat、Free-Press-Release.com、PR Fire など9か所は閉鎖しているか有料になっていました。 残ったのは openPR、PRLog、IssueWire などで、無料だとリンクが押せない、画像が載せられない、最初の1本だけ、といった制限が付きます。

その中で最初の出し先に選んだのが、EIN Presswire です。 EIN は通常は1本ごとに料金がかかる配信サービスですが、日本語版を国内で配信した数時間後に、EIN から「次の1本を無料で配信します。30日以内、カード登録なし」という案内が届いていました。 メールの件名は日本語版リリースの題への返信の形になっていて、国内の配信サイトに載った会社を、海外の配信会社が見ていることが分かります。

条件は1つだけで、アカウントの確認が済むまで送信ボタンが出ません。 案内では最大2日かかるとあり、私の場合は約3時間で済みました。

もう1つ、英語圏の無料配信には日本であまり見ない決まりがあります。 EIN は「原稿の大半が独自の内容であること」を求めていて、openPR という配信サイトは利用規約で「無料で出したリリースを、他の配信サービスに出してはならない」と定めています。 日本のように同じ原稿を何か所にも出す前提で進めると、規約に引っかかります。 私は openPR には入力まで済ませて、送らずに閉じました。

転載は約800サイト、でも人はほとんど来なかった

配信から数時間後に届いた配信レポートには、転載先がずらりと並んでいました。 AP News、USA TODAY 系列の地方紙が約250、テレビ局のサイトが約19、地方のニュースサイトが約220、生活情報系が約170。 さらに日本の記者145人、米国の記者211人の連絡先に送られ、同じ日のうちに Google ニュースにも載りました。

数字だけ見ると大成功です。 ところが、配信後5日間(9月24日から28日)の Google アナリティクスで、転載先から来た訪問を数えるとこうなりました。

  • EIN Presswire 本体から2回
  • EIN の関連サイトから1回
  • AP News や地方紙から0回

同じ期間に、国内の ValuePress からは10回の訪問がありました。 転載先の数では英語が桁違いに多いのに、人を連れてきたのは日本語の配信のほうでした。

英語圏の転載は、配信会社と提携したサイトが自動でページを作る仕組みです。 記者が書いた記事ではなく、読みに来る人もほとんどいないページが数百できる、と考えるのが実態に近いと思います。

被リンクは600本、検索の評価に効くのは4%

では検索の評価には効いたのか。 配信から4日後に、Ahrefs(SEO の調査サービス)の無料チェッカーで pinateca.com を調べました。

  • 被リンク(外から張られたリンク)605本
  • リンク元のサイト554
  • そのうち検索の評価に効くリンク(dofollow)は4%

残りの96%には、リンクに「評価に数えないでください」という印(nofollow)が付いています。 英語圏の転載ネットワークでは、この印を付けるのが普通です。 リンクの数は一気に増えますが、サイト全体の評価を示す Domain Rating は、100点満点で4.3のままでした。

配信から44分で、英語の売り込みが届き始めた

英語版が配信されたのは日本時間の22時10分です。 最初の売り込みは22時54分、「取材のお願い」という件名で届きました。 本文の最後に「記事の掲載には少額の費用がかかります」とあります。

そのあと5日間で届いた英語の売り込みを並べます。

  • 英国の地方紙65紙にリリースを載せる配信サービス(料金は原稿を見てから提示)
  • 「あなたの会社を特集したい」という雑誌社。特集記事の下書きがもう出来ていて、48時間以内なら41,370円(通常62,790円)
  • Yahoo ニュースなどへ配信する別の配信サービス
  • 「ChatGPT に御社が推薦されていますか」という AI 検索対策の会社
  • 「1記事50ドルで載せられるサイトの一覧」という表計算の共有。同じ共有が他社14件にも同時に送られていた
  • EIN 自身から「1週間以内にもう1本どうですか」

日本語版のあとに届いた売り込みは、インフルエンサー企画、成果報酬型の広告、AI 検索対策の無料サービスなどで、どれも最初から営業だと分かる書き方でした。 英語の売り込みは「取材」「特集」「掲載のご案内」という編集部の体裁で来て、料金は本文の後半か、返信したあとに出てきます。 日本の感覚で「取材の依頼が来た」と喜ぶ前に、最後まで読む必要があります。

Mac アプリのときは、何も来なかった

実は Pinateca の前に、9月上旬に Mac アプリの SpaceDeck と Koffret のプレスリリースを、国内の無料配信サービス(ぷれりり、PR-FREE など)に出しています。 そのとき届いたのは掲載の通知だけで、売り込みも問い合わせも1件もありませんでした。

Pinateca は違いました。 日本語版を出したその日のうちに、EIN の無料配信の案内、東証に上場している成果報酬型広告の会社からの掲載の相談、インフルエンサー企画の案内、国内の配信サイトの案内が届きました。 英語版を出したあとは、前の節のとおりです。

同じ会社が、同じような無料配信サービスに出して、これだけ違う。 私は、Pinateca が企業向けの SaaS だからだと考えています。

売り込んでくる側は、企業にお金を払ってもらう商売をしています。 配信サイトに新しく載った会社を見て、予算を持っていそうな相手を選んで声をかけているはずです。 個人が数千円で買う Mac アプリは、その選別で外れます。 月額で料金を取り、会社の中で何人も使う SaaS は、広告費や掲載料を払う余力がある相手に見えます。

英語圏の売り込みが「取材」や「特集」の体裁で来るのも、同じ理由だと思います。 相手を企業だと見込んでいるから、広報の予算から出させる形で声をかけてきます。

ただし、Pinateca のときだけ ValuePress にも出していて、出し先がまったく同じではありません。 差のすべてが製品の違いから来たとは言い切れないことは、書き添えておきます。

無料で転載したいという申し出が、いちばん見栄えがした

売り込みの中に1つ、費用のかからない申し出がありました。 CB Herald というサイトから「リリースを無料で転載したい」という連絡です。 費用がかからないことを確かめてから承諾し、求められた Word ファイルを送ると、9月29日に掲載されました。

ページは普通のニュースサイトの作りで、「広告」や「プレスリリース」の表示もありません。 日本の人から見れば、海外のニュースサイトに記事が載ったように見えます。 pinateca.com へのリンクも、評価に効く形で張られていました。

ただし、サイトの中身も調べました。 記事は全部で7,039本あり、そのうち6,957本が同じ1つの管理用アカウントの名義です。 世界のサイトの人気順位を毎日発表している Tranco の上位100万サイトにも入っていません。 転載で記事の数を増やしているサイトで、ここから人が来ることは期待していません。

実際の登録は、ChatGPT から来ていた

配信後5日間に、自分で会員登録した人は6人でした。 サーバーの記録から、それぞれがどこから来たかを1人ずつたどりました。

  • ChatGPT の回答のリンクから3人(日本、イスラエル、ポーランド)
  • 海外の個人開発者の掲示板 Indie Hackers から1人
  • 私の Facebook の投稿から1人
  • 私のメルマガから1人

転載先の約800サイトから登録した人は、1人もいませんでした。

ChatGPT から来た人は、回答の中のリンクに付く目印(utm_source=chatgpt.com)で見分けられます。 ポーランドの人が来る16分前には、ChatGPT が回答を作るためにトップページを読みに来た記録(ChatGPT-User)も残っていました。 英語をサイトの正面に置いているので、ChatGPT には英語のトップページが渡り、そのまま英語で登録されています。

Google の検索結果に出る AI の回答(AI による概要)でも、Pinateca のページが出典として表示され始めていました。 Search Console の集計では、表示が始まったのは9月13日で、英語の配信より前です。 出典に選ばれていたのは、他社の無料プランの上限を比べたブログ記事でした。 たとえば「clickup free plan limitations」という検索で、Pinateca の記事は通常の検索でも2〜3位に出ています。

英語で配信してみて分かったこと

英語圏のプレスリリースは、人を連れてくるものではありませんでした。 Pinateca という名前の載ったページを、短い期間に数百つくるものです。

それ自体には意味があります。 AI は、どこかで名前を見ていないと製品を答えに出せません。 ただ、実際に登録につながったのは、AI の回答と検索で拾われたブログ記事のほうでした。

英語で出すかどうか迷っている方には、無料の案内が来たら出してよい、と答えます。 ただし、結果は「来た人の数」ではなく「名前の載ったページの数」で受け取ること。 そして、売り込みのメールは最後の段落まで読むこと。 この2つを覚えておけば、英語圏の配信で振り回されることはないと思います。

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#プレスリリース#海外展開#個人開発#SaaS#SEO
平城寿
平城 寿(ひらじょう ひさし)
インディーハッカー。2004年に@SOHOを創業し、20年間1人で運営。
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