
ターミナル1つから、AI エージェントに10個以上のブラウザを操作させている。そのやり方
この記事のポイント
- ✓AI エージェントにブラウザで1つの作業をさせても
- ✓ほとんど何も浮きません
- ✓いくつの作業を並べて進められるか
私は1人で事業を回していて、1日の多くがブラウザの作業です。 Stripe で入金を確かめる。 Search Console から順位を取ってくる。 掲載サイトやローンチサイトのフォームを埋める。 十数か所に投稿する。
最近は、そのほとんどを Claude Code に任せています。 難しかったのは AI ではありませんでした。 ブラウザです。 ログインしているサイトの中で、こちらの邪魔をせず、ボット扱いもされずに、エージェントに作業させるにはどうすればいいのか。
「AI エージェントにブラウザで Uber Eats を注文させてみた」のような話を、よく見かけます。 私に言わせれば、あれは的外れです。 食事の注文なら、自分でやったほうが早い。 1つの作業を私の代わりにやってもらっても、ほとんど何も浮きません。
大事なのは、私が別のことをしている間に、いくつの作業を並べて進められるかです。 ブラウザで AI エージェントを使いたい理由は、それだけです。
まず、よくあるやり方を試しました。 どれも、思ってもいなかった形で行き詰まりました。
1. Claude の Chrome 拡張機能
いちばん手軽なのは、Claude の Chrome 用の拡張機能です。 ログインはもう済んでいるので、エージェントはすぐに作業を始められます。
ただ、拡張機能だと、ブラウザごとに作業を指示することになります。 1つの作業ならそれで十分です。 いくつもの作業を並べて進めたい私には、合いませんでした。
私は、全部をターミナルから指示したかった。 頼むのは1か所だけで、エージェントが必要なサービスで、同時に作業を進める形です。
ほかにも気になったことが2つあります。
- ブラウザを丸ごと渡すことになる。開いているタブも、アカウントも、サービスも全部。「Stripe だけ」と言う方法が無い
- 一度、思っていたのと別のブラウザにつながり、もうログインしているサービスに「ログインしてください」と頼まれた。こちらの画面では何も問題が無かったので、原因が分かるまで時間がかかった
2. 別のブラウザを、自動操作の道具で動かす
AI エージェントのブラウザ自動操作は、ほとんどがこの形です。 特別な設定で Chrome を起動し、そこにつなぎます。
ぶつかったこと:
- まっさらなブラウザなので、ログインが無い。サービスごとに、ログインし直して、2段階認証のコードもまた入れる
- サイトに気づかれる。あるスタートアップの掲載サイトでは、自動操作の道具で送信したら「Bot access denied」が返った。そのあとは、私が自分で送信ボタンを押しても通らなくなった
3. 画面を見て操作させる
エージェントが画面を撮り、場所を決めて、押して、打つ。 何でも操作できます。
ただ、操作するのは、私が見ている画面そのものです。 作業の間、マウスとキーボードはエージェントのもので、画面は1つしかないので、隣で2つ目の作業を進めることもできません。
私がいちばん引っかかったのは、ここです。 エージェントに仕事を任せるのは、その間に私が自分の作業を続けるためです。 エージェントが作業している間、フォーカスを取られて私が何もできないなら、横で見ているだけになります。 作業の効率から見れば、本末転倒です。
本当に欲しかったもの
ここまで試して、欲しいものは短い一覧になりました。
- ログインは自分でする。エージェントにはパスワードを見せない
- エージェントに渡すのは、ブラウザ全体ではなく、1つのサービスだけ
- 私の作業の前に、何も割り込んでこない
- いくつもの作業を、同時に進められる
作ったもの
そこで Kagemusha を作りました。 どんなサイトでも、それぞれ独立した Mac のアプリにします。 Stripe のアプリ、Search Console のアプリ、GitHub のアプリ。 1つ1つが別のブラウザで、ログインも別です。
各アプリには、最初に一度、普段どおりにログインします。 パスワード管理ツールでも、パスキーでもかまいません。 そのうえで、アプリごとに、AI エージェントに操作させるかどうかを決めます。 新しいアプリは、この設定が切ってある状態で始まります。
エージェントが作業するときは、そのアプリの中で、裏で動きます。 画面は私のものです。 見ていたければ窓を出し、要らなければ隠しておけます。
ここを詰めるのに、かなり試行錯誤しました。 打っている最中に、窓が何度も前に出てきました。 窓を一瞬前に出すだけでも、キーボードが3秒近く取られ、打った文字が別のところに入りました。 エージェントがページを開いて、読んで、入力するまでを、私の作業の前に一度も出ずにできるようになるまで、続けました。
アプリごとに別のブラウザなので、いくつも同時に動かせます。 先日確かめたときは、MacBook Pro(M4 Max、メモリ128GB)でこのアプリを24個開いていて、使っていたメモリは合計で約23GBでした。 同じ Mac では、開発用のサーバも20ほど動いていました。 1台で一度見た例で、負荷試験ではありません。
使ってみて変わったこと:ブラウザのお守りをしなくなりました。 先週 Search Console で順位が落ちたページ、今月の Stripe の返金、投稿の下書きを頼むと、私が別の作業をしている間に返ってきます。
置き場所
まずは自分の仕事のために作ったものです。 見てみたい方は、こちらにあります。
ほかの人がどうしているのかも聞いてみたいです。 エージェントにブラウザを使わせているなら、ここに挙げた壁のどれにぶつかりましたか。




